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よく広告で見る「30分で上手くなる!」は本当?  


一時は落ち着いていたコロナ感染も、また増えてきてしまいましたね…!
秋頃には発表会をやりたかったのですが、まだまだ難しい状況が続いています。

さて、今回はネット広告でよく見る

「30分で上手くなる無料体験」
「驚くほど上手くなる体験レッスン」


などのキャッチコピーについて、内部の人間であるボイストレーナーから本音をお話したいと思います。


「30分でうまくなる」はさすがに嘘?

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結論から言えば、嘘ではありません。
というより、わずかに嘘ではない場合が存在します。

それはいったいどういった場合かというと、
普段使っている声が偶然「理想的な出し方」に近く、声の向上のための時間があまり必要ない生徒様の場合です。
また同じように、リズムや音感といった歌に必要不可欠な感覚も大きく苦手としない方であれば、少しのアドバイスで大きな伸びを実感できることがあります。

こういったケースにおいては、呼吸の使い方といった基礎を少しと、滑舌、声の抑揚など歌の「飾り」の部分を強化することで、短時間で上達を望めることがあります。


短時間で驚くほど上手くなるのはほんのわずかなケースだけ


ボイトレというと、まるでこれだ!という出し方の正解を教えるようなニュアンスで語られることが多いのですが、
どちらかというと生きてきた年数で声帯やそのまわりについてしまったあらゆる「癖」を抜いていくステップが大切になります。
出し方や表現も同時に始めますが、生徒様が「ピンとくる」表情になってくるのはこの「癖を抜いていく」が上手くいき始めてからです。
ですので、生まれてからいままでどんな声を出してきたかでスタートが変わると思ってみてください。

ペンの持ち方や足組みなどの他の癖と同じように、

生きてきた年数が長いほど癖は抜けにくくなります。
また、歌が好きだったり音楽がお仕事で「自己流」で歌う時間が長い方ほど効果が出るのに時間かかる場合があります。

短時間で上手く聞こえるようリズムで繕ったり声帯を頑張らせることはできるかもしれませんが、声を壊しやすく、長く歌を楽しみたい方には不向きです。


癖はぜったい取り除くべき?


それでは「癖」とは絶対に抜かなくてはいけない悪いものなのか…というとこれも一概にそうとは言えません。
絵画の修復ではどこまで綺麗にしていいものか、その程度が大切になると聞きます。
歌声も似たような部分があり、「癖」は取り除けばOKというわけではなく、その人が作ってきた「個性」と紙一重なのです。
癖のないニュートラルな声を知ったあとは、
声帯への負担を最小限にしながら個性をちゃんと乗せていけるようにするのが理想的だと思っています。

講師によってレッスンの進め方はまちまちです。
それでも共通して目指すところはこの「ニュートラル」と「癖を生かす」の絶妙なバランスです。

癖と向き合うのは正直地味で地道なトレーニングの積み重ねです。
ボイトレとは本来そういう性質のものなので、ジムに通うような気持ちで、ぜひご自身の声と向き合ってみてくださいね。



Posted on 2022/12/03 Sat. 14:13 [edit]

category: 声を学ぼう

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